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2017.10.3更新
ayaka
フラの持つ本当の意味とは?

フラはハワイ先住民族に伝わる伝統芸能です。日本ではフラといえばフラダンスと思いがちですが、実際には様々な種類があり、舞踏だけでなく歌唱や音楽、詠唱も内包した総合芸術で、さらにハワイ先住民族にとっての宗教的な面も備えています。なお「フラ」という言葉自体に舞踏も含まれているので「フラダンス」という呼び方は意味が重複しているのですが、フラダンスという言葉は現地や専門家の間ではともかく、一般的な用法においては日本のみならず世界的に使われています。

 

フラの起源は神話には諸説あり、女神が人に与えたものとも、火山の女神をなだめるものとも伝えられていますが、歴史的な起源はハワイ諸島に最初に渡って来たポリネシア人の文化が独自に発展を遂げたものと考えられています。18世紀に西洋文明と接触すると、キリスト教宣教師は異教の儀式であるフラを禁止しましたが、19世紀後半に「メリー・モナーク(陽気な君主)」と呼ばれたカラカウア王がハワイ伝統文化を奨励したことで復活しました。この時に生まれた、西欧の影響を受けた歌を取り入れた近代的なフラをフラ・クイといいます。

 

有名になり、フラが様代わり?


第二次世界大戦後、ハワイがアメリカ合衆国50番目の州となり観光地として有名になると、フラもまた観光資源として有名になりました。フラはハリウッド映画にも取り入れられ、世界的に知られるようになりましたが、その一方で伝統的な形式からはかけ離れていくようになりました。ハワイアンミュージックを模して白人が作った全文英語歌詞の曲である「ハパハオレソング」に乗せてビキニとセロファン製の腰みの姿のセクシーな女性が踊るものが「フラダンス」として世界に発信されていくようになったのです。この状況を憂えた人々がハワイ文化の復古運動「ハワイアン・ルネッサンス」を1970年代に始め、伝統的なものに近い詠唱を伴うフラを「フラ・カヒコ」、フラ・クイの流れを汲む西洋文明の影響を強く受けた歌を伴うフラを「フラ・アウアナ」と区別するようになりました。

同じころ、毎年のイースターにフラの祭典「メリー・モナーク・フェスティバル」が開かれるようになり、フラ・カヒコ及びフラ・アウアナの大会が行われる他、競うのではなく純粋にパフォーマンスを披露するイベントも催され、それらには日本からの参加者もいます。また、神話の1つにおいてフラの始まりの地とされるモロカイ島では「カフラピコ」という祭が行われています。メリー・モナーク・フェスティバルに比べて小規模ですが素朴な雰囲気があります。

 

フラ・アウアナが日本では一般的に


日本で一般的に「フラダンス」としてイメージされるのは、ハワイ紹介の先駆けとなった常盤ハワイアンセンター(※現在名称:スパリゾートハワイアンズ)の影響もあり、フラ・アウアナの方です。フラ・アウアナはタヒチなど他のポリネシアの島々の踊りと混同されることも多いのですが、激しいダンスが主体のタヒチアンダンスに対して、フラ・アウアナはゆったりとした動きが主体とイメージすればわかりやすいでしょう。いずれにせよ元は同じ文化だったものが2つに分かれたものだと言われています。近年ではフラ・カヒコも少しずつですが知名度を上げつつあり、フラ・カヒコを行う日本のフラダンス教室も増えてきました。

フラ・アウアナは欧米の音楽理論を取り入れたフラです。楽器はスティールギターやウクレレなどの和音を出せる外来のものを用います。歌を伴うのが特徴で、いわゆるハワイアン・ミュージックというものはフラ・アウアナの伴奏として発展したものです。「アウアナ」は「漂う」というような意味があり、古典(カヒコ)にとらわれない、フリースタイルのフラといったニュアンスがあります。

フラ・カヒコでは鮫皮の太鼓であるパフドラム、イプヘケという乾燥させたヒョウタンなどの打楽器を用いてリズムをとります。ダンサーがイリイリ(石のカスタネット)を用いる場合もあります。大衆音楽としての側面の強いフラ・アウアナに対し、フラ・カヒコは宗教音楽としてのフラを受け継いでいる存在です。その為神聖で厳粛な雰囲気の中で行われます。「フラ・カヒコの形式にのっとって作られたフラ・カヒコの新曲」をフラ・カヒコに含めるかどうかは意見が分かれています。元来ハワイは文字を持たない文明であったため、過去の伝承は口伝のほかにフラ・カヒコを通じて伝えられていました。一度廃れたものを後世によみがえらせたものであるため、完全に同じというわけではありませんが、本来のハワイ文化を今現在に受け継ぐ存在といえるでしょう。

一見してアウアナとカヒコに分かれたように見えるフラですが、実際にはフラ・アウアナにとってもフラ・カヒコは基礎として位置づけられています。メリー・モナーク・フェスティバルでもトライアルはフラ・カヒコで行われ、フラ・アウアナ部門の出場者は全てフラ・カヒコ部門の出場者でもあります。このことからも、いかにフラがハワイ文化において重要な存在であるかがわかります。

 

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