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2018.1.15更新
本間
アロハシャツとココナッツの深ーい関係

 

まだまだ奥深いアロハシャツの世界。ヴィンテージ・アロハシャツマニアのこだわりのひとつに「ココナッツボタン」があります。ハワイの象徴ともいえるココヤシとアロハシャツの関係に迫ります。

 

ハワイアンとココナッツ


ハワイの風景に欠かせない植物といえば“ヤシの木”ですよね。それもそのはずで、ハワイにはココナッツツリー、パームツリー合わせて200種類を超えるヤシの木の仲間が自生しています。

ヤシの実(ココナッツ)がなるのがココナッツツリー。パームツリーは実のならない種類で、家の前や街路樹として植えられているのはこっちです(実が落ちてきたら危ないですからね)。

どちらのヤシの木もハワイアンにとっても生活に欠かせない大切な植物です。

キャプテン・クックがハワイを発見するずっと前、ポリネシア人が太平洋を越えてハワイにやってきたときから、ヤシの木は衣食住すべての面でハワイアンの生活を支えてきました。ハワイアンはヤシの木の全ての部分を利用しています。

ヤシの木は住宅の建築材料になります。幹を使って骨組みを組んで、ヤシの葉で屋根を葺いた伝統的な住宅はビーチや博物館で見ることができます。住宅の前のヤシの木は装飾であると同時に風除けの役目も果たしています。

ヤシの葉やココナッツから取れる線維は、マットや帽子など様々な生活用品へと加工されます。ヤシの葉はそのままで素材をくるむ調理器具や食器としても重宝されています。

ココナッツは、ココナッツジュース、ココナッツミルクとしての利用はもちろん、ココナッツオイルを搾ったり、砂糖を作れる種類もあります。そのエキスは薬としても使われてきました。

固い殻はそのまま食器としても使われていますし、その固さを活かして工芸品の材料としても活用されています。ココナッツで作られたクラフトワークはハワイのお土産としても人気がありますよね。

ココナッツはアロハシャツのボタンの材料にも使われています。

 

 

アロハシャツのボタン


アロハシャツ誕生当時からボタンには色々な素材が使われてきました。

 

・ココナッツ

ハワイで採れるココナッツから作られるボタンは_本来_アロハシャツのボタンとしてもっともポピュラーな素材です。ハワイ産よりもフィリピンなど東南アジアで作られた製品が多く出回っています。

 

・バンブー

日本や東南アジアから輸入される繊維のつまった竹を使っています。風合いはいいのですが、ココナッツよりも加工がしやすいため安価です。ハワイ製のココナッツボタンを駆逐する要因のひとつになりました。

 

・白蝶貝・黒蝶貝ボタン(シェルボタン)

貝殻から削り出したボタンです。蛎殻から作られるものもあります。パールのような上品な光沢感がフォーマルシーンで活躍するシルク製のアロハシャツとよく合います。

 

・練りボタン

貝の粉末をユリア系の樹脂(尿素)で固めたもの。色素を混ぜることで自然素材なのに自由な色を作ることができます。貝殻の持つ光沢感を失っていないのでプラスチック製とは一線を画します。

 

その他に、木製、プラスチック製、金属製のものがあります。メタルボタンはアロハシャツに合わないように思いますが60年代始めからが使われています。エルビス・プレスリーがアルバム・ブルーハワイ・サウンドトラックのジャケットで身につけていることからコアなアロハシャツ愛好家の間で人気のアイテムです。

 

 

ココナッツボタンづくりは家内手工業


しかし、アロハシャツの定番はなんといっても「ココナッツボタン」です。

ココナッツボタンは、ハワイの手工芸品として伝統的に作られてきました。学校の工作にもボタン作りが取り入れられていたくらい一般的なことだったのです。

とはいえ、固い殻からココナッツボタンを作るのは思った以上に大変です。アロハシャツ用として使われ出すと需要が増えココナッツボタンの数が足りなくなり、工業ベースでの生産が必要になってきます。

ハワイで最初のボタン・メーカーはジョン・A・オオヤ&カンパニーです。元々、食器やティキ像、オーダー家具を扱うクラフト工房なのでボタン製造のために設備は整っていたものの、規模的には家内手工業でした。

本格的な工業生産に乗り出したのはホノルル市長だったジョン・H・ウィルソンです。大量に廃棄されているココナッツの実を活かすため。1948年ココナッツボタンの製造工場をワイキキに建設しました。工場の運営を障害者支援のNPOに任せ、障害のある人たちが作ったボタンをハワイアン・ボタン株式会社製として売りだし成功を収めました。

しかし、アロハシャツ生産が基幹産業として育っていくに従って、安価なフィリピン製ものや日本製のバンブーボタンが輸入されるようになりハワイ製のココナッツボタンは衰退していきます。

 

 

ヴィンテージに欠かせないココナッツボタン


でも、レーヨン生地に昔ながらの抜染でプリントされたヴィンテージものには、独特の線維模様がナチュラルな存在感を主張するココナッツボタンがしっくりきます

特に手作業で仕上げられたハワイ製のものは、なめらかな表面の仕上げと色味が違い、ヴィンテージファンに言わせると「手触りでわかる」そうです。

ハワイアン・ココナッツボタンには、丸いものだけではなく、三角や木の葉をかたどったものもあり、クラフトマンの技術に培われた遊び心が垣間見えます。

 

 

マイ・ココナッツボタン


ココナッツボタンづくりは大変ですが、自分で使う分くらいなら作れないことはありません。ヤシの実の果肉と線維を取り除き、ボタンの元になる形を切り出して、磨きをかけ、糸を通す穴を開けます。

やってみると手間はかかりますが、ドリルのホールビットで型を切り出し、磨きやボタンホール開けにもドリルの力を借りれば結構キレイに仕上がります。ポイントはボタンを加工するときにしっかりと固定できる工夫をすること。

ココナッツボタンの人気は今でも廃れていません。ヴィンテージ・アロハ愛好家でなくても「本物のアロハシャツと呼べるのはハワイアン・ココナッツボタンを使ったものだけだ」と言い切る人が増えているくらいです。

産地にこだわらなければココナッツボタンは日本のクラフトショップでも手に入ります。お気に入りのアロハのボタンをココナッツに変えるだけでガラッと印象が変わりますよ。

 

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