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2017.5.8更新
ichi
浜辺のSlice of Life #07 江の島に渡った猫

あまり知られていないことだけれど、江の島には人が住んでいる。
そしてその中には、小学生から高校生までの通学をしている学生が少なからずいる。

同級生の友人はその中の一人だった。

今は知らないが、当時は江ノ島大橋を渡って島まで来るバスが朝と夕方にはあったらしい。
友人の家は割と山の上だったらしく、毎朝駆け込みでバスに乗っていたと言う。
ある時、台風が接近した。
てっきりバスは来ないと思っていると、打ち寄せる波の中をいつもの時間にやってきたそうだ。

高校生の頃、週末に実家の店を手伝っている友人を訪ねた。
友人を待っている間に親父さんから供された江ノ島丼は、絶品だった。
驚いた顔をしていたのであろう。親父さんがポツリと言った。
「本物のサザエだから」。

海の幸に恵まれた島だからなのか、多くの猫が住み着くようになったことがあった。
島全体が聖域の島内では、地域猫として見守り続けていた。
猫の島として有名になってしまったけれど、何も変わらずに猫たちと付き合い、猫たちも人懐こかった。
ただ一つの願いは、お気に入りの猫ができても居場所をネットで共有しないでほしいということだと友人は言う。

二十歳をいくつか過ぎた頃、友人と初日の出を見るために島の南側に行った。
人工的な明かりが全くない南の岩礁は、漆黒の闇とはこういうことかと思う深い闇だった。
日が差してくるまでは、警備によって磯場へは降りることが出来ない。
江島神社奥津宮の前あたりで陣取り、警備の解除と共に磯場へと降りていく。
おっかなびっくり進む私を後目に、ヒョイヒョイと進んでいく友人。
まるで島の猫のようだった。
追いつこうと一歩踏み出した途端に、磯だまりに嵌まった。
元日から潮の香りを漂わすこととなったこの年は、すこぶるくじ運が良かったことを覚えている。

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